コラム
いつ来るかわからない - 尼崎市の運営指導と、向き合い方の整理
運営指導を不安に感じる背景
尼崎市内の障害福祉サービス事業所から、運営指導について次のような声をよく伺います。
- 運営指導がいつ来るのか分からず不安
- 何を基準に見られるのか整理できていない
- 指摘や減算につながらないか心配
運営指導は「数年に1回程度」と言われることが多いものの、実際には明確な周期が示されるわけではありません。 いつ実施されるか分からない状態で運営を続けること自体が、不安を生みやすい構造になっています。
尼崎市の運営指導の特徴
尼崎市は指定権者であるため、運営指導は尼崎市の職員のみで実施されます。 訪問人数は必ず2名以上で、事業所の規模や状況に応じて3名以上になることもあります。
尼崎市の運営指導は、基本的に条文・通知・運営基準に沿って確認が行われるのが特徴です。
- 制度上どう整理されているか
- 条文と運営が一致しているか
といった点が、淡々と確認されていきます。 その一方で、行政職員の方の中には、現場の状況を踏まえながら確認を進められる方も多く、 一方的な指摘が続くような形になりにくい印象があります。 そのため、尼崎市の運営指導は、条文確認を基本としつつも、冷静に進められるケースが多いと感じています。
「分からない状態」に陥りやすい理由
運営指導への不安は、事業所の姿勢の問題というより、構造的に生じやすいものです。
- 日々の業務が忙しく、制度を読み直す時間が取れない
- 制度を断片的に理解したまま運営に当てはめている
- 行政文書や条文の表現が難しく、全体像をつかみにくい
尼崎市では条文通りの確認が基本となるため、 「現場感覚では問題ないと思っていたこと」が、 制度上の整理不足として指摘される場面も少なくありません。
本当に注意すべきリスクの所在
減算や返戻は避けたい結果ではありますが、実務上の負担が大きくなりやすいのは、指摘後の対応です。
- 制度をあらためて理解し直す必要が生じる
- 運営ルールや考え方を整理し直す必要がある
- 今後、どこを順守すべきか判断を迫られる
過去の記録をさかのぼって修正することは、記録の信頼性を損なうおそれがあります。 重要なのは、制度を理解し直し、今後の事業所運営にどう活かしていくかを整理することです。
運営指導を「構えるもの」にしないために
運営指導は特別なイベントではなく、日常運営の延長線にあります。
- 条文と日々の運営がどう結びついているかを把握する
- 求められている体制や記録を理解したうえで運営する
- 「聞かれたら説明できる状態」を少しずつ整える
条文通りに整理されていれば、運営指導は過度に恐れるものではなくなります。
当事務所のサポートについて
運営指導に対する不安は、「何を、どの条文で見られるのか分からない」ことから生じます。
- 運営指導を見据えた論点整理
- 条文と実際の運営のズレの確認
- 運営指導当日の同席による判断支援
運営指導を一度きりの出来事として捉えるのではなく、 条文と運営をすり合わせる機会として整理していくことで、 事業所運営の安定につながります。