コラム
令和8年度 処遇改善加算改正で見直すべき設計
令和8年度の処遇改善加算改正
令和8年度から、処遇改善加算の制度が一部見直されます。
加算率は上がります。職員の給与アップにつながる内容であり、悪い話ではありません。
一方で、職場環境等要件の数が増えるなど、要件はわずかに厳しくなります。さらに、区分の整理が行われ、新たな選択肢が示される形になります。
大きな制度変更というわけではありません。だからこそ、見落としやすい点があります。
区分が増えたときに起きやすいこと
区分が増えると、「より上の区分を目指そう」と考えるのは自然なことです。
しかし、区分を上げること自体が目的になっていないかは、一度立ち止まって確認しておきたいところです。
加算率の差は確かに存在します。ただ、その差に見合うだけの体制整備や事務負担が発生していないか。
負担と効果が見合っているかどうかは、事業所ごとに異なります。
制度が変わるときこそ、「どの区分を取るか」ではなく、「自分たちの設計として無理がないか」を見直す必要があります。
「誓約」に頼ったままになっていないか
令和7年度は、一定の要件について誓約を行うことで算定が可能となっていました。
その間に、本来整えるべき体制や記録が十分に準備できているかどうか。
改正後の算定を考えるときには、過去の誓約が実態として整理されているかを確認しておく必要があります。
制度上算定できていることと、説明できる状態になっていることは同じではありません。
毎月支給という考え方
処遇改善加算には、「一定割合以上を毎月の賃金で支給する」という考え方が含まれています。
これは、総額を増やせばよいという設計ではありません。まず一定割合分を月給として引き上げ、そのうえで残額を賞与などで調整するという構造になっています。
つまり、賞与でまとめて対応するという発想ではなく、日常の賃金水準そのものを引き上げることが前提に置かれています。
この違いは、事業所の賃金体系全体に影響します。
加算率が上がるから安心、ではなく、どのように配分し、どのように説明できるかまで整理しておく必要があります。
加算率が上がるときの盲点
加算額が増えれば、支給総額も増えます。
同時に、社会保険料などの事業主負担も増えることになります。
制度上、一定の範囲で加算から充当できる部分はありますが、その整理が曖昧なままでは、後から説明に苦慮することになります。
加算を取ること自体が目的ではありません。事業の継続を前提とした、無理のない設計ができているかどうか。
小さな改正のときほど、その視点が問われます。
当事務所のサポート
- 区分選択が事業所の実態と整合しているかの整理
- 過去の誓約事項が実態として整っているかの確認
- 加算配分や記録が説明可能な状態かどうかの点検
制度変更のたびに慌てるのではなく、その都度、自分たちの設計を見直すこと。
処遇改善加算は、単なる加算率の話ではなく、事業所の運営設計そのものを映す制度でもあります。
大きな改正ではないからこそ、静かに見直しておきたい論点です。