コラム
処遇改善加算を取ると、なぜ経営が苦しくなることがあるのか
職員のための加算で会社負担が増えることがある
処遇改善加算は、職員の給与改善を目的とした加算です。受け取った加算は、基本的に職員の給与として支給することが前提になっています。
つまり、制度の趣旨としては職員の待遇を改善するための仕組みです。
ところが実務では、「処遇改善加算を取った結果、会社の負担が増えた」という声を聞くことがあります。
給与を上げると、会社の負担も増える
たとえば、処遇改善加算を100万円受け取ったとします。その100万円を給与として支給すると、職員の給与は増えることになります。
しかし、給与が増えると同時に増えるものがあります。社会保険料などの会社負担です。
つまり、
- 給与が増える
- 社会保険料の会社負担も増える
という構造になります。
この会社負担分を法人側が別で負担してしまうと、「加算は入っているのに、法人の持ち出しが増える」という状態が起こることがあります。
職員の待遇を改善するための加算なのに、会社の負担が増えてしまう。少し不思議な感じがするかもしれません。
問題は制度よりも「設計」
実務で問題になるのは、制度そのものというより加算の設計や配分ルールです。
たとえば、
- 誰にどのように配分するのか
- 社会保険料などの会社負担をどう整理するのか
- 法人としてどこまでを負担するのか
こうした点を整理しないまま運用していると、「加算は入っているのに、なぜかお金が残らない」という状態が起こりやすくなります。
処遇改善加算は、制度としては同じでも、設計や運用によって経営への影響が大きく変わる加算でもあります。
なぜ設計が曖昧になりやすいのか
もうひとつ、処遇改善加算には特徴があります。
それは、「まず申請すること」が先に進みやすい制度だという点です。
加算は申請すればすぐに影響が出るため、
- まずは算定する
- 配分は後から考える
という形で始まってしまうことがあります。
その結果、配分ルールや会社負担の整理が曖昧なまま、毎年なんとなく運用が続いてしまうケースも少なくありません。
令和8年度の見直しのタイミング
令和8年度は臨時の報酬改定も予定されています。
制度が動くタイミングは、現在の運用を見直す機会にもなります。
- 現在の配分ルール
- 社会保険料などの扱い
- 加算の設計そのもの
こうした点を一度整理してみると、処遇改善加算の見え方も少し変わるかもしれません。
当事務所のサポート
当事務所では、処遇改善加算について、制度解説だけでなく実際の運用を前提とした整理をサポートしています。
- 現在の配分ルールの整理
- 社会保険料など会社負担の整理
- 制度要件と実際の運用の整合確認
- 年度更新時の設計見直し
処遇改善加算は、制度自体は同じでも、設計や運用の違いによって結果が変わりやすい加算です。制度だけでなく、現場で無理なく続けられる形になっているかという視点から整理することが重要になることがあります。
日々の運営の中で、加算の扱いや配分について迷う場面があれば、そうした整理のサポートをしています。