障害福祉の処遇改善加算を めっちゃわかりやすく!

私は 挑戦します

ややこしすぎる処遇改善加算を
わかりやすくすることに。

このページを見てくださっているあなたに。

処遇改善加算のことがわかった!」と言っていただけるように。

私、言葉と文章を尽くします。
(なるべく短く、シンプルに書いた……つもりです。)

処遇改善加算のことを小分けにしています。

上から順に読んでいただけますと、全体像を把握できる……はずです!

もちろん、気になるところから読んでくださっても構いません。

それぞれ、見出しをクリック・タップすると中身を読むことができます。

このページは、処遇改善加算をわかりやすくすることを目的としています。

ですので、あえて誤解を招く表現をしている箇所もあります。

そういった意味では「正確」ではないところもございますが、ご理解・ご了承のほどお願い申し上げます。

1.前置き

前置き

処遇改善加算。

みなさまもご存じのとおり、とにかく複雑です。

職員の給与を
増やせる加算なのに

ややこしすぎる!

私、事業所に勤めていた時から、ずっと思ってました。

本気で職員の給料を増やしたいと思っているなら

もっと簡単なしくみの加算にしてくれませんかね……。

しかし、私の思いは届かず。

処遇改善加算は、年々ややこしくなっています。

ならば、私がわかりやすくしましょう。

私が、極めて複雑な制度をどこまでわかりやすくできるか、あなたにも見届けていただけますと嬉しいです。

2.何のための加算?

なぜ 
処遇改善加算が生まれた?

【加算の目的】
福祉業界の職員は、給与水準が低い傾向にある。

だから、職員の給与を増やして、人材流出を防ごう!

という考えのもとに生まれたのが「処遇改善加算」です。

私が言うまでもなく、めちゃくちゃ大切な加算です。

頑張ってくれている職員のために、給料を増やしてあげたい!

そんな、経営者や管理者の思いを実現するための、とっても大切な加算です。

【まとめ】
処遇改善加算は、職員のための加算!

職員の給料を増やすための加算!

3.加算は全額 職員へ!

職員の給与アップの加算

さきほど「処遇改善加算は、職員のための加算」とお伝えしましたね。

実はこの加算。

他の加算と違って、少し性質が違うのです。

他の加算だと、純粋に法人の利益とすることができます。

ですが、処遇改善加算は「法人の利益になることはない」のです。

もちろん、法人の「売上」ではあります。

ですが、処遇改善加算は全額職員に支給しないといけないため、法人の手元には1円も残りません。

たまに

「加算額の50%を職員に支給してるから、残りの50%は法人の利益にしている。」

といったようなことをおっしゃる方がいらっしゃいますが、完全に間違ってます

おそらくですが、いろいろなルールがごちゃまぜになっているのだと思います。

「2分の1ルール」については、あとでご説明いたしますね。

【まとめ】
必ず「処遇改善加算の全額」を職員に支給してください。

4.8つに1つの事業所が……?

13%もの事業所が 
処遇改善加算を取れていません

先ほどもお伝えしましたが、処遇改善加算はとっても大切な加算です。

にもかかわらず、全体の13%の事業所が、処遇改善加算を取っていません。

だいたい8事業所のうち1事業所は、処遇改善加算を取っていない計算です。

どうして13%も 
取れていない?

【加算を取らない理由 上位4つ】
・事務作業が煩雑

・届出に必要となる事務を行える職員がいない

・算定要件を達成できない

・賃金改善の必要性がないため

やはり。

制度の複雑さ、ややこしさが挙げられています。

とっても大事なのに、とっても複雑。

そんなジレンマを抱えているのが、この処遇改善加算なのです。

【まとめ】
制度がややこしいせいで、加算を取っていない事業所がけっこうある。

(参考にした資料はこちらです。)

5.どうやったら加算を取れる?

取る「だけ」なら 
実はカンタン?

※この項目は、ゼッタイに最後までご覧ください。

加算を取る「だけ」なら、実は簡単です。

処遇改善計画書」を行政に提出すれば、加算を取ることができます。

「え?それだけでいいの?」

というお声が聞こえてきそうです。

あえて誤解を恐れずに言います。

取る「だけ」なら、これで取れます。

実際問題、これだけで加算を取っている事業所も多いです。

しかし。

しかし、しかし。

これだけで済むなら、誰も苦労しません。

実は、加算を取る前に、さまざまな準備が必要なのです……。

【まとめ】
計画書を出したら加算が「取れてしまう」から、実はけっこう危険です。

6.加算を正しく 取れてますか?

さまざまな要件がある 
それが処遇改善加算

さて、いよいよ。

いよいよ話がややこしくなってきます。

加算を取るためには、要件をクリアする必要があります。

「要件がある」ということは、あなたもご存じですね。

では、「どういった要件があるのか」はご存じでしょうか。

・毎月の支給ルールをクリア

・キャリアパスの策定

・職場環境等要件をクリア

おおまかに分けると、3つの要件があります。

なんだか、字面を見るだけで頭痛がしそうですね……。

実は。

・「処遇改善計画書を提出している」けれど
・3つの要件がクリアできていない事業所さん

めっちゃ多いんです……。

要件をクリアしないと?

最悪「加算の全額を返す」ことになります。

あまりに悪質な場合は「指定取消」が起こることも考えられます。

「計画書さえ出したら加算取れるで。」

これがどれだけ危険なことか、言うまでもありませんよね。

【まとめ】
実は「計画書出すだけ」って、めちゃくちゃ危険!!

7.加算区分(Ⅳ)の2分の1?

加算区分(Ⅳ)? 
の2分の1?? 
……ん???

加算区分(Ⅳ)の2分の1を毎月支給してください。

以上。

……いやいや、あまりにも分かりにくすぎるでしょう、厚生労働省さん。

本当にわかりにくいので、例を交えながらご説明します。

つまずきやすいポイントです! 
がんばりましょう!

処遇改善加算には区分があります。

言い換えれば、加算のランクですね。

(Ⅰ)の方が高く、(Ⅳ)の方が低くなっています。

ここまでは、わかるんです。

ここからが、問題なんです。

ここからは、実際の数字をつかって、計算してみましょう。

今回は、就労継続支援B型を例にしますね。

下の表は、就労継続支援B型の処遇改善加算の加算率です。

(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)
9.3%9.1%7.6%6.2%

基本ルール(例)
・売り上げが ¥1,000,000/月 だとしたら

新しく処遇改善加算(Ⅰ)を取ると
¥1,000,000×9.3%=¥93,000
この「¥93,000」が処遇改善加算です。

合計すると¥1,093,000ですね。

ですので
・¥1,093,000のうち
¥93,000
処遇改善加算ということになります。

(Ⅳ)の2分の1(例)
この「¥93,000」のうち
・どれだけ
・毎月
・職員に支給するか

これを決めるのが「(Ⅳ)の2分の1」ルールです。

では、実際に計算してみます。

登場する数字は2つです。
・¥1,000,000(処遇改善加算なしの金額)
・3.1%(区分(Ⅳ)の2分の1)
※就労継続支援B型の区分(Ⅳ)は6.2%

¥1,000,000×3.1%=¥31,000

¥93,000の処遇改善加算のうち
¥31,000を毎月職員に支給しなければなりません。

うーん、なんてわかりにくいんでしょう。

・処遇改善加算が入っていない金額に
・(Ⅳ)の2分の1をかけ算する
・出てきた金額を、毎月支給する

箇条書きにすると、こんな感じです。

わかったような、わからないような……。

ん?ということは 
毎月計算が必要?

そうなんです。

・毎月、計算しないと
・支給する金額がわからない

毎月、計算しないといけないんです。

処遇改善加算額通知書の横にでも、書いてくれればいいんですけどね。

「今月は¥31,000支給しないといけないですよ!」みたいに。

まあ、国保連がそんなに気の利いたことをするわけありませんが。
(国保連から怒られませんように……。)

「なんかわからんまま支給してた」ら、基準違反を起こしていた

令和6年度の実績報告は、大変なことになりそうです……。

【まとめ】
毎月支給する金額は、毎月計算しないとわかりません。

スーパー不親切設計です。

8.キャリアパス?なにそれ?

軽視されがち 
キャリアパス

処遇改善加算を取るなら、キャリアパスを作らないといけません。

え?なにそれ?キャリアパス作ってないけど加算取れたよ?

はい、先ほどもお伝えしたように、取る「だけ」なら取れちゃうんです。

そして、当事務所も何度となく寄せられたご相談でもあります。

それくらい「キャリアパス」の認知度が低いのです。

加算要件なのに。

で、さらに。

非常にざっくり言いますと

キャリアパスの作りこみ具合で加算の区分が変わる」のです。

「キャリアパス作ってないけど加算取ってる」のはアウトです。

でも「作りこみが足りないのに区分(Ⅰ)を取っている」のもアウトです。

キャリアパス 
どうやってつくるの?

厚生労働省が、簡易なキャリアパスの見本を公表しています。

こちらのExcelデータの一番後ろのシート。

「参考(キャリアパス要件概要及びキャリアパス・賃金規程例)」

こちらにキャリアパスの見本が書かれています。

ちょっと待った! 
気を付けて!

「じゃあ、この表を印刷しておけばいいんだ!ラクチン!」

ちょっと待ってください!

それは、めちゃくちゃキケンですよ!

この「キャリアパス」は、言ってみれば「法人の給与ルール」です。

ということは。

テキトーに作ると、法人のルールがめちゃくちゃになります。

とっても極端な話。

支援員の給与「年収1,000万円」って書いちゃうと、そのとおりに給与を払わないといけなくなります。

そして、このキャリアパスは、全職員に直接見せて確認してもらう必要があります。

つまり。

ちゃんと考えてキャリアパスを作らないと、人件費が多くなりすぎて一発で倒産することもあり得るのです。

「キャリアパスは、なんとなくこれでいいや。」

なんて考えだと、とんでもない目に遭うこと間違いなしです……。

【まとめ】
キャリアパスは絶対に作ってください。

テキトーに作ると、めちゃくちゃなことになるので注意です!

9.職場環境等要件がよくわからない

なんかわかりにくい 
それが職場環境等要件 

しょくばかんきょうとうようけん。

漢字だらけで読む気がしませんね……。

さて。

この職場環境等要件ですが。

この言葉自体に「なじみ」が薄いかもしれません。

ですが、処遇改善加算を取っているのであれば、必ず知っているはずです。

処遇改善計画書の中に「チェックマーク」をつけるところがあったのを覚えていませんか。

そうです、あれです。

あの「わかりにくいやつ」です。

また、厚生労働省の資料にもあるように

加算ランクによって、必要なチェックの数が変わります。

◆処遇改善加算(Ⅳ)と(Ⅲ)
各エリアに1個ずつチェック

生産性向上には2個チェック

◆処遇改善加算(Ⅱ)と(Ⅰ)
各エリアに2個ずつチェック

生産性向上には3個チェック

処遇改善加算を取るには、この要件をクリアしないといけません。

しかも、処遇改善計画書にチェックを入れるだけではダメなんです。

WAMネットなどで、職場環境等要件のことを公表しなければなりません。

ですから、なんとなく「あ、処遇改善計画書の×が○に変わった!」だと、あとあと困りますよ。

【まとめ】
職場環境等要件は、ルール通りにチェックを入れないといけない。

また、チェックを入れるだけじゃなく、WAMネットなどで公表する必要がある。

10.他にも細かいルールはあるけれど

処遇改善加算は 
本当にややこしい

他にも細かいルールがあるので、100点満点ではありません。

ですが、ここまでご説明したことをクリアすることで「大まか」には、加算要件を最低限クリアしたことになります。

この処遇改善加算、知れば知るほどイヤになります。

それくらい、ややこしいのです。

でも、だからと言って「要件をクリアしない」のは困りものです。

運営指導が入り、指摘を受ける。

場合によっては、返戻の可能性も……。

そんなことになってからでは、遅いのです。

そうならないためにも、普段から制度のことを知り、対策をしていきましょう。

【まとめ】
「最低」でも、ここまで書いたことはクリアしてください。

それでも、他にも細かい要件があるので、要注意です。

11.おわりに

……なんとなく 
おわかりいただけましたか?

処遇改善加算のこと、なんとなーく、おわかりいただけましでしょうか。

とにかくややこしい」ということは、間違いなく伝わったかと思います……。

言い換えれば「テキトーにやってると、必ず痛い目をみることになる」のが処遇改善加算です。

自分なりの都合の良い解釈

これが一番の敵です。

めちゃくちゃキケンです。

間違った方向に進んでしまう、地獄への入り口です。

本当に、悪いことは言いません。

制度のことを正しく学ぶか、専門家に任せることをおすすめします。

返戻を求められてしまうと、すべてが手遅れです。

そうならないように、日ごろから適正な事業所運営をしていきましょう。

処遇改善加算のことで困ったら

お気軽に、当事務所へご相談ください。

処遇改善加算をもっとわかりやすくするための集計様式もご用意しております。

あなたが、安心して事業所を運営できるように、お手伝いをいたします。