職員の給与を
アップさせてあげたい!
でも なんだかややこしい!
それが、処遇改善加算なのです……。
処遇改善加算はその名前のとおり
「職員の処遇をよくする(給料アップ)」ための加算です。
この処遇改善加算には「わかりやすいルール」から「わかりにくいルール」まで、いろんなルールがあります。
ですので、まずはルールの確認からしていきましょう!
処遇改善加算
基本ルール
1.職員に全額支給
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処遇改善加算は
「全額」職員に支給すること
(例)
・100万円の処遇改善加算を受け取ったら
・職員に100万円支給すること
これは、基本中の基本のルールです。
この例の場合、100万円を超えて職員に支給しても構いません。
しかし、職員への支給総額が100万円を下回ると基準違反です。
必ず、全額、職員に支給するようにしましょう。
よくある間違い
・処遇改善加算の全額を職員に支給しなくてもよい
・加算をいくらか職員に支給すれば、残りは法人の利益としてよい
法人の利益にしたい気持ちはよくわかるのですが、職員に全額支給してください。
2.毎月支給
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毎月決まった額を
支給すること
以前は、処遇改善加算の全額を一時金(ボーナス)として支給することが認められていました。
毎月、ちょっとずつ職員に支給するのではなく、一気に1年分の加算を職員に支給するイメージです。
しかし、令和6年度にルールが変わりました。
その結果、加算全額を一時金にすることは認められなくなりました。
具体的には加算区分(Ⅳ)の2分の1以上の額を毎月支給しなければなりません。
……ちょっと、これだけでは何を言っているのかわかりませんね。
ひとまず「毎月、必ずいくらかは支給しないといけない」ということを押さえておきましょう。
くわしく知りたい方は↓こちら↓もご覧ください。
◆処遇改善加算の区分って?
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処遇改善加算には
区分(ランク)があります。
ここでは、就労継続支援B型を例に見てみましょう。
区分 (Ⅰ) | 区分 (Ⅱ) | 区分 (Ⅲ) | 区分 (Ⅳ) |
9.3% | 9.1% | 7.6% | 6.2% |
このように、処遇改善加算には区分があります。
国保連からの報酬(平たく言うと売上)に、上記の加算率をかけ算します。
(例)
・今月の国保連報酬(売上)が100万円だった
・処遇改善加算は区分(Ⅱ)を取っている
¥1,000,000×9.1%=¥91,000が処遇改善加算
国保連からは¥1,091,000入金される。
処遇改善加算は、このような仕組みとなっています。
区分(Ⅳ)の
2分の1って?
引き続き、上記の例で確認していきましょう。
先ほどの計算で¥91,000が処遇改善加算として入金されることがわかりましたね。
ここで、区分(Ⅳ)の加算率を見てみます。
先ほどの表では6.2%となっています。
その2分の1ですから、3.1%です。
つまり「国保連報酬の3.1%を毎月支給する必要がある」ということになります。
(例)
・先ほどと同じ条件で考えると
¥1,000,000×3.1%=¥31,000
つまり「毎月¥31,000以上、職員に支給する必要がある」ということになります。
・処遇改善加算¥91,000の内
・¥31,000以上を毎月支給すること
「区分(Ⅳ)の2分の1」とは、このように考えます。
……うーん、感覚的にわかりづらいルールですね。
余った¥60,000は
どうするの?
・残りの¥60,000は
・一時金(ボーナス)として、全額支給すること
余った加算も、全額職員に支給してください。
これは、一時金(ボーナス)という形で支給すれば問題ありません。
(例)
・年度末に加算残額を計算する
・加算残額を全額ボーナスとして支給する
先ほどの例(¥60,000/月)が、毎月続いたとしましょう。
1年度(4月から翌年3月)分の加算残額は
¥60,000×12か月=¥720,000 となりますね。
ですから、年度末に¥720,000を一時金として職員に支給すればOKです。
余った加算も、必ず職員に全額支給をお願いします。
3.任用要件と賃金体系
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任用要件と
賃金体系を整備する
あまり、聞き慣れない言葉かもしれません。
【任用要件】
どうすれば、昇進できるのかを明確にする
(一例)
・勤続年数●年以上
・指定した資格を得る
・代表者との面談によって決定
【賃金体系】
どの役職につくと、給料はどうなるのかを明確にする
(一例)
・採用直後は年収300万円からスタート
・主任級になると年収500万円が上限
このように「任用要件」と「賃金体系」を明確にしなければなりません。
これらの準備は、処遇改善加算のランクにかかわらず《必須》です。
4.研修計画
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研修計画をつくり
研修をおこなう
研修計画をつくった上で、研修を行う必要があります。
この研修計画には「研修の目的」を定める必要があります。
また、法定研修以外の研修をしなければなりません。
【法定研修とは?】
・虐待防止研修
・身体拘束適正化研修
・BCPに関する研修 など
指定基準上、必要とされている研修のことです。
ですので「法定研修以外」と言いますと
・利用者接遇研修
・支援スキル向上の研修
・工賃向上研修 など
こういったものを指します。
こちらも、処遇改善加算のランクにかかわらず《必須》です。
結構、忘れられがちですのでお気をつけください。
5.加算ランクを上げるには
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もっとたくさんの
要件をクリアする
加算のランクを上げるには、いくつかの「キャリアパス要件」をクリアしなければなりません。
【キャリアパス要件】
・昇給のしくみを整備する
・年額賃金を指定された金額以上にする
・福祉専門職員配置等加算をとる
・特定事業所加算をとる
また、聞き慣れない言葉が出てきましたね……。
障害福祉の制度はこんなことばかりです、本当に。
さて、話を戻しまして。
高いランクの処遇改善加算を取るには「キャリアパス要件」をクリアすることが必要です。
要件を正しくクリアしないまま処遇改善加算を取ってしまうと基準違反となります。
基準違反となれば、もちろん行政から指導を受けることになります。
(最悪の場合、加算の返還も考えられます。)
しかし、ここで恐ろしい問題が起こります。
なんと、この処遇改善加算。
キャリアパス要件をクリアしていなくても、高いランクの加算が取れてしまうのです。
当事務所でも「要件をクリアしないまま加算を取っている事業所」をたくさんお見掛けしています。
(当事務所の体感ですが、5割ほどの事業所がクリアできていません。)
しかし、ここで勘違いしてはいけません。
ただ「加算が取れてしまう」だけであって、それが許されるわけではありません。
後から、運営指導が入ることで必ずバレます。
言うまでもなく、危険です。
ちゃんとキャリアパス要件もクリアした上で高いランクの加算を取りましょう。
なんで
そんなことになるの?
それにしても、なぜこんなことが起こるのでしょうか。
それは、この後にご説明する「処遇改善計画書」を作ることで、加算が取れてしまうからです。
・要件をクリアしていなくても
・処遇改善計画書を作ることで
・高いランクの加算が取れてしまう
◆でも、あとから運営指導でバレる!
くれぐれもお気をつけください。
(正直、制度に問題があると思います……。)
6.処遇改善計画書
(クリック・タップで開きます)
処遇改善計画書を
作って提出
先ほどもご説明したとおり、必須の書類です。
さまざまな要件をクリアしていても、この書類を作らなければ加算が取れません。
(逆を言えば、計画書さえ作れば加算が取れてしまうのです……。)
さて、この「処遇改善計画書」ですが。
初めて見る方は何がなんだかわからないかと思います。
【厚生労働省ホームページ】
処遇改善加算のページはこちら。
・処遇改善計画書(Excelデータ)
(クリック・タップでダウンロードできます。)
ぜひ、上のリンクからご確認ください。
制度を把握していなければ、想像以上にワケがわからないと思います……。
これを毎年
提出しないといけない
なんと、この処遇改善計画書。
毎年提出しないといけません。
提出しないと、加算が取れません。
やはり、ここで諦める方も多いようです。
ややこしいだけでなく、毎年提出しないといけないのです。
また、事業所全体の14%は処遇改善加算を取っていないというデータもあります。
7~8事業所のうち1事業所が処遇改善加算を取っていない計算です。
敬遠されている方が多いことがわかります。
しかも。
それだけではありません。
毎年提出するのは、この「処遇改善計画書」だけではないのです。
この後ご説明する「処遇改善実績報告書」も毎年提出しなければなりません……。
7.処遇改善実績報告書
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処遇改善実績報告書も
作って提出
【厚生労働省ホームページ】
処遇改善加算のページはこちら。
・処遇改善実績報告(Excelデータ)
(クリック・タップでダウンロードできます。)
名前がちょっと違うけど、中身は同じようなデータがダウンロードできたのではないでしょうか。
こちらは「処遇改善加算をどうやって支給したか」を報告するための書類です。
「処遇改善計画書」と同じように、毎年提出しなければなりません。
・どれだけ処遇改善加算を得たのか
・どれだけ職員の給与をアップできたか
・ちゃんと毎月支給したか
といったことを入力していきます。
手間がかかるのはもちろんのこと。
「そもそもの書き方がわからない」というお声も多数いただいております。
詳しい人に任せるのが
いちばん安心
よくわからないまま、間違って加算を取るよりも詳しい人に任せる方が安心なのは間違いありません。
ですから、事業所の中に「制度に詳しい人」がいるのが、一番の理想です。
しかし、支援に詳しい職員はいても、制度に詳しい職員は少ないのが実情です。
外部委託って
じつは意外と有効です
「できる人がいないなら、外部委託するしかない。」というのもそうなのですが。
人件費のことを考えると「外部委託の方がコストがかからない」ことも多いです。
自社で新しく職員を雇用するとなると、社会保障などの法人負担が発生してしまいます。
(今後、社会保険の対象はさらに拡大していくようです……。)
場合によっては、交通費や家賃補助など、基本給以外の人件費もかかります。
急な欠勤や退職など、勤怠管理の手間も増えることになります。
実は「見えないコスト」って、想像している以上にあるんですね。
また、特に令和は人材不足の時代です。
ですから「外部に出せる仕事は外に出す」
令和の時代、この考え方は欠かせません。
処遇改善加算の
不安と手間をなくしたい!
もし、あなたがそのようにお考えでしたら、一度、当事務所へご相談ください。
(初回のご相談は無料です。ご安心ください。)
「わずらわしさ」から解放されるために。
当事務所は、そのお手伝いをいたします。
お気軽にご相談ください。
(業務の性質上、契約可能件数に限りがございます。ご了承願います。)